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画家エンドウシノブ

初めての個展で打ちのめされた話

2017/10/09
 
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ニューヨークで個展を開いたり、グラフィックデザインを勉強したり、日本をバイクで放浪したり、スクーターでニュージーランド一周したり、バスキング(路上パフォーマンス)するために現在オーストラリア・メルボルンに在住しているやりたい放題の画家エンドウシノブです。 独学で絵を描き続けてたくさんの経験をしているので海外のアートを絡めてシェアしています。

 

秋なのに冬みたいに寒い山の中Arthur’s passにいます。久しぶりに地元東北の冬を思い出した。すっごい寒い。ツラい。イヤ、寒いのは嫌い、顔が痛い。

 

そんな泣き言は白い息となり消えてゆく中、スクーターでは無理すぎる山道で登れず、バックパックをスクーターにくくりつけて手押しの形でエンジンをかけながら歩いて登りました。

 

 

この写真は一昨日ツーリングした時のもの。

 

 

さて、初個展の話はちょいちょい小出しに書いてますが、ちゃんと書こうと思います。

事の経緯は以前に書いたので省くとして、十数年前なのでちょっとうろ覚えだけども準備から。

 

初めての個展準備

個展の日程が決まった私はまず額を大量に仕入れた。

額が先か絵が先かは人それぞれなので一概には言えないんだけど、この頃の私は額が絵を描くよりも先のことが多かった。

 

額を部屋に広げて大体の想像を膨らませる。中心には布団がある。すぐ寝られる。起きて描いて描いて描いて寝るためだ。(ダメ人間

ギリギリの方がクリエイティブな創作ができる私は手書きで『あと○日しかないよ』を知らせるカウントダウンカレンダーを作った。毎日寝る前に×印をつけていく。これは必須だ。(ほんとダメ人間

 

 

クロッキーブックを眺めて自分の絵を見直したり、新しく描いたり、画集眺めたり、本を読んだり、昔の日記読んだり、部屋を片付け始めたり、漫画読んだり、もうほんとどうにかして、いい加減にして私

 

という『テスト前あるある』みたいなことをしながら額の雰囲気と自分の絵を合わせる作業をしていく。

何点描けばいいのかはこの時点では全く把握してないのである程度描きながら決めていく。

 

 

いつの間にかギリギリ

そんなこんなで時は矢のごとく過ぎ、あっという間にギリギリの時期がやってくる。

睡眠時間はどんどん削られていき、朝の4時に寝て朝7時半に起きる生活が始まる。営業の仕事してたからね。

 

毎日死んだ顔で出勤して死んだ顔でお客さんと上の空で話し、もう最低な営業マンです。すいませんでした。

土日は生き返ったように描いて描いて寝て描いて部屋片付けて散歩に出かけて漫画読んでもうコラ!

 

 

そんな合間にDM(案内ハガキ)にするための絵を選ぶ。

その絵の写真が探しても探してもなかったので日本に帰ったら載せます。結構気に入ってる絵。

 

 

どの絵が初個展だったかうろ覚えであんまりデータも残ってないのでこれも帰国後ちゃんと載せる。

 

この3点は確実に初個展の絵。

以前も書いたけど3枚目は20歳の頃初めてキャンバスに描き起こした思い出の絵。

なのでタッチが違うんだけどこれも気に入ってる。

 

DMができ上がるとテンションが上がり別人のように元気になる

DMができて喜び勇んで幼馴染ナナコの家に走る。大体ナナコには個展のDMと年賀状は走って渡しにいく。

ナナコはとにかく腐れ縁のよさこい野郎(女子だけど)だ。会うときにはいつも空想ごっこか妙なポーズで勝負するかで、まともな会話をしたことがない気がする。(小学生

3時間ぐらい架空の人物の人生を永遠と語ったりするのが普段の会話である。

 

 

 

友達や職場、美術関係の知り合い、あわよくばと営業しながら宣伝しまくった。当時やってたブログなんかにも載せた。

 

そんなこんなで個展の初日、朝の4時まで描き続けてようやく初めての個展を迎えた。(我ながら見事なギリギリフィニッシュであった

 

 

9日間の個展で、ギャラリーの集客力のおかげか宣伝しまくったせいかお昼を食べる暇も取れないぐらいに来展者が多かった。

もちろん友達は初個展をお祝いしに来てくれたし、ブログを見てわざわざ東京、岩手の遠方、宮城から足を運んでくれた方もいた。

 

自分の作品と他人の人生がリンクする

個展開催中は仕事を休んでできるだけ在廊した。

自分の絵を観て、何を感じてどう思ったのか意見を聞いたりできるので本当にかけがえのない時間だった。

面白いものでみんな絵とタイトルで色々と想像をしてくれるんだけど、それが十人十色でその方の人生が見えてくる。また別に書く予定だけどタイトルのつけ方も私の表現の中ではとても大事で、それを拾って絵と合わせて想像を膨らましてくれるのが本当に楽しかった。

 

毎回このギャラリーの個展に来る常連さんも来て頂いたんだけど、いつもたくさんのアーティストの絵を観てるだけあって鋭くて、それでいてもっと頑張ろうと思わせてくれる言葉をくださる。今思えば若手のアーティストを応援してくれる言葉だった。

 

地元の新聞の取材が来て新聞デビュー。田舎の新聞はいつもネタを探してるらしく、そんなことをやる時は電話すれば来てくれるらしい。田舎の特権である。

利用できるものは全て利用したほうがいい。

 

今はスマホの普及でネットはなくてはならないものになっている。ネット宣伝の仕方はいくらでもある。せっかくお金を使って寝る間も惜しんで描いた絵を、ネット上ではなく直接見てもらえる場を作ったんだからよりたくさんの人たちに観てもらうべき。

 

確かにネットで売る手もあるし自分もそうしているけれど、やはりネットで観る絵と直接観る絵は違うと思う。

 

 

 

初めての個展での学び

個展も無事に終了し、最終的に売れた絵は25点中16点。これは結構売れた方だとギャラリーの奥さんに聞いた。

場所代とDM代、額代、キャンバス代などいろいろ差っ引いた純利益も十分に出た。

 

売り上げを頂く時にギャラリーの奥さんから一生忘れられない言葉を頂いた。前にも書いたけど

 

一度絵を売る行為をしたら絵を途中で投げだすな。売った責任は一生ついてくる。そして人にタダで絵を描くな。あなたの絵を買ってくれた人に失礼だからもうやるな。

 

実際はもっと優しい言い方だけど、もうこれは本当にグサッときた。ただのポジティブクソ野郎だった私も泣きたいほど納得したから本当にグサリと。

 

 

ギャラリーのオーナーには個展期間中叱られた。

その時ブログの友達が来てくれて、しかも幼馴染ナナコもいた。もうこれはテンション上がりすぎてみんなで騒いでしまった。

 

オーナーにちょっと来いとナナコと私は呼び出される。

 

他のお客さんのことを考えろ。仲間内で騒いでたらゆっくり観たいお客さんも遠のく。二度とあなたの個展に来たいと思わない。あなたのために言っているんだ。

 

この言葉は当たり前なんだけど、ちゃんと叱られたことが父親のいない私にとってはグサーーーっときた。当たり前が当たり前にできてなかった。個展とは自分よがりではいけないんだと教えて頂いた。

 

 

もういろいろとグサグサで切り刻まれた私は、殻を破って深く成長できたとこの時思った。

個展も何にもせずにいたら味わうことのなかったことで、未だにただのポジティブクソ野郎だったらと思うともう夜しか眠れない日が続く(普通

 

 

アーティストとして責任を考えられるようになった個展。

ただ絵を描いてネットに上げることも悪くないと思うけれど、それだけでは感じられないことが数え切れないほどあった。

どういう形であれ自分の表現したものは直に観てもらうに越したことはない。

 

 

それによって人生はより一層輝く。

 

 

 

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エンドウシノブ

ニューヨークで個展を開いたり、グラフィックデザインを勉強したり、日本をバイクで放浪したり、スクーターでニュージーランド一周したり、バスキング(路上パフォーマンス)するために現在オーストラリア・メルボルンに在住しているやりたい放題の画家エンドウシノブです。 独学で絵を描き続けてたくさんの経験をしているので海外のアートを絡めてシェアしています。

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ニューヨークで個展を開いたり、グラフィックデザインを勉強したり、日本をバイクで放浪したり、スクーターでニュージーランド一周したり、バスキング(路上パフォーマンス)するために現在オーストラリア・メルボルンに在住しているやりたい放題の画家エンドウシノブです。 独学で絵を描き続けてたくさんの経験をしているので海外のアートを絡めてシェアしています。

Comment

  1. takeshi より:

    こんにちは、takeshi kohamaと申します。エンドウシノブ様同様、もっと田舎の秋田出身です。現在東京で会社員しながら絵を描いております。私も独学で絵を描いておりますが38歳妻子ありで個展やりたいけど時間的余裕がなくなって行き詰ってしまいました。会社員からアーティストになりたいのにどうしようか迷っています。私の絵は具象も具象、なんのひねりもない絵です。エンドウ様の絵は、欲しくなる絵。飾っておきたくなる絵です。そんな絵を描けるようになるにはやはり個展や公募展ですね。大変かと思いますが、アーティスト楽しんでください。私もなんとか脱してみたいです。妻子に迷惑かけないように。お読みくださりありがとうございました。

    • エンドウシノブ より:

      takeshiさんはじめまして。
      どのアーティストにとっても自分の絵を観てもらうというのはすごく大事だと思います。公募に送るのも評価がもらえるという意味では面白いですが、それもやはり【審査員】が評価しているだけなので、個展や路上で直接【お客さん】から意見をもらえる場は本当にタメになります。

      東京にお住まいであればギャラリーカフェやバーなんかで個展を開くってのも一つの手ですね。マーケットやフェスに出店するのも面白い。
      若い自分を育ててくれたのはいつも【観てもらえる喜び】と【直接もらう意見】。
      そこから創作するパワーと個性へのこだわりができていったんだろうなあ

      絵を描く上で一番大切にしていることは想いを込めること。ただかっこいいから絵を描くのではなく、伝えたいことがあって、それが一人一人違うからアートって面白い。

      takeshiさんにしか伝えられない38年間の想いを絵にすれば、唯一無二のアートになるんだとわたしは思います。
      年齢に遅いも早いもなく、その時だからこそ描ける絵があるので是非楽しんで描き続けてくださいね。

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